松本佳也氏による「法律事務所の翻訳業務と法務翻訳のヒント」と題したJLDウェビナーが、米国時間4月4日に開催されました。松本氏はオランダや日本の法律事務所で英和・和英両方の翻訳業務を担っていた豊富な経験があります。
法律事務所で翻訳される文書にはさまざまなものがありますが、最も多いのは契約書で、交渉の段階で訂正されるたびに翻訳作業が発生します。最近の傾向として、東京証券取引所が企業情報の日英同時開示を推進していることなどから、日英の法務翻訳の割合が増加しているとのことで、新たな需要は、翻訳者としてチャンスになると感じました。
翻訳作業では、担当翻訳者が翻訳後、別の翻訳者がチェックし、さらに事案の担当弁護士がチェックし、さらに和文英訳の場合は米国人弁護士によるチェックも加わるということで、多くのチェックを経て翻訳が完成していくということに驚きました。
また、英文契約書に使われる用語や表現、日本語の表記ルールなどについての基本を詳しく解説してくださいましたが、事前に提出された質問にも答えてくださったため、法務翻訳の初心者にも経験者にも役立つ内容になったと思います。英語のandに相当する「及び」と「並びに」の使い分けとして、「及び」は小さいまとまり(下の階層)に、「並び」は大きいまとまり(上の階層)に使用するということは知っていましたが、階層が3つ以上のときにどうするかというのは、私が常日頃から疑問に思っていたことなので、それが解決しました。
このプレゼンテーションは録画されず、スライドも公開されませんでしたが、後日資料が配布されました。プレゼン中に紹介された資料、その他の参考資料(辞書、解説書など)、和文法律文書の書き方や英訳のための参考資料などをまとめた非常に役立つ資料なので、法務翻訳をしている方、してみようと考えている方は、ぜひ見てほしいと思います。
著:Miyo Tat (宮川未葉)
編:三根翼 Tsubasa Mine
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